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第20話 五年前の夜

last update publish date: 2026-07-19 20:00:00

葵は何も急かさなかった。ただ、待っていた。

「五年前のこと」

皿の上の餃子を見つめたまま、口を開いた。

「前の会社で、上司が横領しているのを見つけた」

葵の手が止まる。

「証拠を添えて、内部通報した。でも……証拠の入手に、問題があったの」

「問題?」

「上司のパソコンのデータを、許可なく見てコピーした。内容は本物だった。横領は事実。でも手段はグレーだった」

葵が黙っている。

「内部通報は匿名のつもりだったけど、たぶん調べればわかる状態だった。あの時の私には、そこまで考える余裕がなかった」

「それで?」

「上司は降格になって、職場の空気が変わった。誰も口にしなかったけど、みんなわかってた。私がやったって」

喉の奥が、重くなる。

「それだけじゃない。巻き込まれて辞めた同僚もいた。何も悪いことをしていない人たちが」

葵が箸を静かに置いた。

「&hell

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  • 身代わりお見合いの花嫁〜冷徹社長は偽りの愛を見抜いている〜   第3話 見透かされる嘘

    それから、当たり障りのない会話が続いた。趣味のこと、好きな食べ物のこと。プロフィール帳に書くような、差し障りのない質問と回答。姉から叩き込まれた設定を頭の中で繰り返しながら、ボロが出ないようになんとか答え続けた。ところが──。「お仕事は、普段何をされているんですか?」ひどく自然に投げかけられたその質問に、張り詰めていた頭が一瞬でフリーズし、口が勝手に動いた。「広告の……プランニングを──」しまった。姉は、ファッションモデルのはずだ。「……っ、いえ。今はモデルの仕事を少しお休みしていて、その……裏方のお手伝いのようなことを」取り繕うように、慌てて言い直す。顔に熱が集まるのを感

  • 身代わりお見合いの花嫁〜冷徹社長は偽りの愛を見抜いている〜   第2話 偽物の名前

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